こんにちは。司法書士の粒来です。
前回に引き続き、今回も相続○✕クイズです。
今回は前回のクイズで得た知識をもとに、さらなる難問にチャレンジしてもらいます。
ということで、まずは前回の3問の知識をおさらいします。
亡くなった人に子どもがいない場合、その人の親が相続人になる。
亡くなった人に子どもはいたが、既にその人(子ども)が亡くなっていた場合は、その子どものさらに子(孫)が相続人になる。
相続放棄をした人は、その相続において、最初から存在しなかったのと同じように取り扱われることになる。その結果、相続放棄をした人が存在したから相続人ではなかった人(次順位の相続人)が、繰り上がって相続人になる。
よろしいでしょうか。
では、これらの知識をフル活用して、次の問題にチャレンジしてみてください。
大事なことなのでもう一度。
上記の知識をふまえて、回答してください。
- 第4問(超上級)
死亡したおじいさんに大きな借金があったため、父(おじいさんの子)がその相続について家庭裁判所に相続放棄の手続をした。この場合、父の子(おじいさんの孫)は、自分も相続放棄の手続をしなければ、おじいさんの相続人として、おじいさんの借金を負うことになってしまう。○か✕か。難しいので、ヒントです。
お父さんが相続放棄をしたということは、お父さんは最初から相続人でなかったことになりますね。そうすると、相続放棄をしたお父さんがいたために相続人でなかった孫は、どうなるでしょうか。
- 正解は、✕です。
残念でした。ひっかけ問題です(ノ∀`)アチャー
前回の知識をもとに考えると、父が相続放棄して最初から相続人でなかったことになれば、父がいないことで相続人になる父の子【知識2】が、繰り上がって相続人になる【知識3】と思いがちです。
そうすると、父の子も相続放棄をする必要があるように思えてきます。
しかし、知識2(代襲相続)について定められた民法887条2項は、実はこんな規定になっています。
被相続人の子が、相続開始以前に死亡したとき、又は第891条の規定(相続欠格:引用者注)に該当し、若しくは廃除によ項って、その相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる。
つまり、この規定の適用があるのは、被相続人の子が死亡、相続欠格または廃除によって相続権を失ったときだけで、相続放棄で相続権を失ったときは入っていません。
そのため、父が相続放棄をした場合にはこの規定が適用されず、そもそも父の子(おじいさんの孫)には相続権が発生しないことになります。
相続権がないのだから、相続放棄をしなくても、おじいさんの借金を背負う心配はないのです。
皆さん、私の思惑どおり不正解だったでしょうか??
ほどよく私に対する不信感が芽生えたところで、今回はおしまいです。
次回は、○✕クイズ最後の問題にチャレンジしていただきます。
今回、まんまと騙されてしまった方は、そのモヤモヤした気持ちを抱えたまま、次回の記事をお楽しみにお待ちください( ̄∀ ̄)