死亡する順番と相続人の範囲②

こんにちは。司法書士の粒来です。

前回のコラムは、相次いで相続が発生した場合、お亡くなりになった順番により相続人の範囲に違いが出るというお話でした。

では、亡くなった順番が不明の場合はどうなるのか、というのが今回のお話です。

このケースについて、民法には次の規定があります。

第32条の2

数人の者が死亡した場合において、そのうちの一人が他の者の死亡後になお生存していたことが明らかでないときは、これらの者は、同時に死亡したものと推定する。

どちらが先に亡くなったかが不明の場合、両者が同時に亡くなったものと推定されます。

そして同時死亡の場合、片方が死亡した時には他方も死亡していることになるので、両名ともに、お互いの相続人にはなりません。

その結果、このケースでは前回の②と同じく、父は祖父の相続人にならず、祖母のほかは、父の相続権を代襲した子だけが、祖父の相続人になります。

祖父の相続人になるのは
まず祖父が死亡、次に父が死亡したケース(前回の①)
  • 祖母・母・子
まず父が死亡、次に祖父が死亡したケース(前回の②)
  • 祖母・子
どちらが先に死亡したかが不明のケース(今回)
  • 祖母・子

ということになります。

このように、法律で定められた相続人の範囲は、亡くなるタイミングがずれただけで変わってしまう面倒なものです。

今回はシンプルな事例でしたが、実際の事案では、数次相続や代襲相続が何回も重なって、じっくり検討しないと誰が誰の相続人なのかさえ分からないものも多くあります。

そのように事態が複雑になってしまってから司法書士に依頼すると、当然ですが時間も費用も余分にかかります。

相続発生後すぐに着手することで、手続きにかかるコストを大きく減らすことができるのです。

なお、追い討ちをかけるようで恐縮ですが、このままいくと相続関係が複雑になってしまいそうな方や、既に手に負えず投げやりになってしまっている方に悲報です。

2024年4月から、相続登記が罰則つきで義務化されることが決まっています。

ついに、年貢の納め時がやってきます。

いざそうなってからバタバタしないよう、また少しでも傷が浅くて済むように、お心当たりの方は、すぐに当事務所にご相談ください。